*あ〜ぁ、夏休み*
かおる


絵はがきみたいな花丸正しい夏休みには
入道雲と蝉の声と蒼い海の三点セット

空と大地をパッキリと分ける入道雲は
どこまでも大きくまっしろで
桃源郷までいける螺旋階段を隠す
蝉はサイレンとプレーボールの掛け声と供に
ヤッパリ今年も儚い夏の似姿として
琥珀色の夢の抜け殻を添えてくれるはずで
ギラギラと照りつける太陽を浴びて
海はどこまで蒼く夏を反射させる鏡

それなのに

粘り着く湿気にペシャンコにされている毎日
空も雲の占有率が100%を下回る事もなく
見る物全てにミルクの膜がうっすらと貼り付いているよう
未だに耳鳴りのような空気をつんざくせみの声がしない
気の抜けたようなサイダーのようで
溺れる事もできやしない


自由詩 *あ〜ぁ、夏休み* Copyright かおる 2006-07-16 20:15:58
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