ケトルマン〜毛の裏を太陽に〜
仲本いすら

僕らもいつか禿げて来る

禿げてくるから光るんだ

僕らはいつか禿げて来る

だからこんなに悲しいんだ

毛の艶を太陽に 掲げてみれば

見事にパサパサ 僕のキューティクル

ジダンだって 温水ぬくみずだって

たこはちろうだって

みんな みんな生きているんだ

負けていられない。



キミだって、いつかはツルツルになるけれど

ボクだって、いつかはツルツルになるけれど

聞いておくれ。

聞いておくれ。

プロポーズの時には

「ボクの髪がなくなっても

愛してくれますか?」と

言わなくちゃいけない。

いけないんだ。




僕らの髪も生きている

生きているから息絶える

僕らの髪は生きている

だから大事に育てたい

トントンと叩くより 優しくなでて

「がんばれよ」って言ってあげて

そのまんまだって アルシンドだって

たこはちろうだって

ミンナ 昔はフサフサだったんだ

バカにすんじゃねぇ。



ミンナ昔はフサフサだったんだ

そんな昔は育毛なんてなかったんだ

でも。

でも。

でも。

髪の毛の量とかで

人生が決まったりするわけじゃ

ないとおもうんだ。

だって、だって、


みんな みんな生きているんだ

友達なんだ。



自由詩 ケトルマン〜毛の裏を太陽に〜 Copyright 仲本いすら 2006-07-14 20:13:02
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