ミンチにされてゆく 白昼
atsuchan69

突き刺さる、つよい日ざしが
ハイテク硝子に反射する ビルの高み
嵌め殺しの窓を砕き割ってでも、
落ちてゆく人がいる。

あれは丁度、夏の盛り
カンカン照りの交差点に降ってきた
 肉の塊り
それが僕だとは、露とも知らずに。

クルマたちは停まることもなく
立ち止まる人もなく、
 踏みつけられた肉の塊りが
無惨にも、ミンチにされてゆく 白昼

救急車が、来ない。
救急車は忙しく サイレンを鳴らし
肉の塊りを
さらに踏み潰して走りすぎる。

妻は家事とパートに忙しく、
子どもたちは試験勉強に忙しく、
当の僕は仕事に追われ、
ついさっき 死んだことさえ忘れていた。


自由詩 ミンチにされてゆく 白昼 Copyright atsuchan69 2006-07-14 19:21:10
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