正しい街
なるせ

知ってる
きみが「信じて」と言う時は
訳もなく泣きそうな時だってこと
微笑みかけて髪をなぜれば
ほら、もうどうだっていいだろ
此処には真実なんて無いんだから

あの丘に埋められた死体には
首がない
みんな怖がって喉を奪ったのさ
恐ろしく歌のうまい女だったから

空だと思ってたあの色は
本当は偽物
だって太陽がいつも緑色
風がない
雨も降らない
星も見えない
ていうかそれ、なんだよ



してはいけないこと
この街から出ていくこと



「信じて」
「まもるから」
無理だ
ぼくらのなかの正しさは
この場所にしかないんだ
わかるだろ
どこまでも正しい街

偽物だろうと、どうだっていい。


自由詩 正しい街 Copyright なるせ 2006-07-13 15:09:51
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