ボディーピアス
恋月 ぴの

☆ おへそにピアス


おへそにピアスしています
ローライズのずっと上
チューブトップのちょっと下
夏の視線がやたら眩しくて
わたしのまんなか
おへそにピアス
わたしがまだ
あのひとのお腹のなかにいたとき
へその緒でふたり繋がっていて
あのひとからの血が流れてた
産まれ出たとたんに
へその緒はぷちんと切られて
ふたりは離れ離れになったはず
あのひとはあのひとで
わたしはわたし
それでも受け継いでしまった
あのひとの血
あのひとの星
おんなでいるからには
わたしも辿っていくのだろうか
あのひとの歩んだみちすじは
同じ血
同じ星
彼氏はまるでお乳でもねだるように
おへそのピアスを口に含んで
ちゅうちゅう吸ってくれて
そんな彼氏の頭を優しくなでるとき
聞こえてくる
あのひとが口ずさんでくれた
へんてこりんな子守唄




☆ こころにピアス


ひとには言えないところにも
わたしピアスしてみたい
おんなが何かを考えるところ
おんなのこころにピアス
ひそかに揺れ動いて
そっと…サソリのように
息づいてくれる
わたしもいつの日にか
あのひとのように
誰かの子をお腹に宿して
へその緒でふたり繋がって
あのひとから受け継いでしまった
わたしの血がその子にも流れて
暗く深い眠りに抱かれて
やがて離れ離れになる刹那まで
ふたり一緒の蜜月を過ごして
わたしの血
わたしの星
もしもおんなの子だったら
わたしの子も辿っていくのだろうか
あのひとも
わたしも
歩んでしまったみちすじは
淫らな血
穢れた星
彼氏はまるで好奇心旺盛な子どものように
こころのピアスを口にふくんで
ちゅうちゅう吸ってくれて
そんな彼氏の頭を優しくなでるとき
口ずさんでしまうのかな
あのひとが口ずさんでくれた
へんてこりんな子守唄





自由詩 ボディーピアス Copyright 恋月 ぴの 2006-07-12 06:53:58
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