脱出
狩心

有名人の足跡は残さないように、体を折り曲げて下水道に滑り込む
 死にそうな生物は下水を飲み、さらに死にかける
  水中で息する事を覚え、太陽の光から逃れるように、深海へと向かう
 未知の世界に興奮し、全てを投げ打ち、異種格闘技に挑む
身も心も解体され、澄み渡る空が幾重にも重なって、幼虫の頃を思い出す
 目の前に広がる大地は、夢を必要とせず、胸を張ってそびえ立つ
  生き物の走りが振動となり、惑星全体が楽器となる
 なんとなく生きるという怠惰に怯え、今一度、不自然さを取り戻す為、
神に逆らう事が私の生きる道であると確信する。


自由詩 脱出 Copyright 狩心 2006-07-11 10:19:20
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