葛飾化石
仲本いすら

ファッションなんかには
まったくと言っていいほどに
興味がない。

ファッション雑誌に金を払うなんて行為は
馬鹿げていると、思っている。

いまどきの話題なんか
ぜんぜん知らなくて
いつも、退屈を感じてる。

誰かの好きな人の話だとか
簡単なお金儲けの仕方だとか
そんなことより

点線を結んでいくと虹になって
紅茶を地図にこぼすと
そこからワダツミが生えるとか

そういう話をするほうが
断然、頭と心が一致する。

シーラカンスってのは
生きた化石なんだとか
言われてるけど

自分も、そうなんじゃないかって
錯覚するんだよ。

きっと
明日の朝日新聞の一面は

化石になった男
四畳半で発見

とか、そんなもんでしょ。

彼は、ドトールのエスプレッソと
音楽だけを愛して

ローリングストーンズを聞きながら
化石になった模様です。だなんて。ね。

いずれ、「葛飾化石」だなんて
学者に名づけられて

この化石の微笑みは
いったいどういう意味があるんだ?だなんて
調べられたりして

そして最後には
点線を結ぶと虹になるお話みたいに

音楽とエスプレッソだけを愛すと
化石になってしまう

なんてお話になって

誰かの話のネタになるんだろうな。


と、彼はつぶやきながら
エスプレッソをズズリとやった。



自由詩 葛飾化石 Copyright 仲本いすら 2006-07-09 20:56:36
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
四文字熟語