銀河流星
アマル・シャタカ

この星に死が満ちるとき
歌われる悲しみは
残されたものを慰めはしない
人は孤独だ
死に逝くものだ
と宣言しても
それとて寂しさを慰めはしない

電気的に結びつかない
陽子と中性子は
π中間子が結ぶ
それが原子核
そしてそれが人という種
男と女を結ぶのは
恋という名の
友と友を結ぶのが
友情という名の
人間と人間を結ぶのが
愛という名の
中間子

ただの言葉と
目に見えぬからと
ゴミ箱に捨ててはならない
絶望と言う名の中間子を
呼び込むだけだから

誰かを思い過ぎれば
心もやがてアルファ崩壊やベータ崩壊を引き起こし
ただの鉛になってしまう
利己的で強すぎる思いは
ガンマ線の放出のように
自らの安定と引き換えに誰かを傷つけている

想い合う二人には
生きとし生けるものが想い合う時には
慈悲と言う名の重力場が発生する
その力は限りない
この銀河系の法則

輝ける星の光が
この死が満ちる星に降ることを知るとき
人は涙の中に
銀河を見る
愛する人の中に
宇宙を見る


自由詩 銀河流星 Copyright アマル・シャタカ 2006-07-05 22:26:33
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