そっちはどうだい
プル式

じいちゃんが夕涼みしてる
静かに 静かに 黙って 黙って
ぼんやりと煙草を吸いながら

縁側の無くなった都会の隅で
ガードレールに座って
車道を眺めながら

時折道端の排水溝辺りから
リリ リリ リリ
と虫の声が聞こえている

そういえば僕のじいちゃんは
夏が終わって秋になる頃
すっと居なくなったんだな

赤とんぼが夕日に綺麗で
まるで極楽とんぼだなんて
じいちゃんの迎えだなんて

じいちゃん僕は知らなかったんだ
極楽とんぼって言うくらいだから
そういう意味だと思ってたんだ

だけどじいちゃん
意味を知った今でもきっと
あれは極楽とんぼだって思うよ

苦労ばっかりだったじいちゃんが
のんびり気楽で元気ならいいな
じいちゃんはトンボの背中に乗れたろうか


自由詩 そっちはどうだい Copyright プル式 2006-07-01 03:12:58
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