題なんて散漫すぎてつけられぬ
三十一文字の宇宙へ捧ぐ
レプリカのゲルニカを敷きつめた部屋で健やかに生き呼吸している
信号を見落としすぎて追突す頬つたう血の寂しいブルー
朝顔のオートマティックな微笑みがきみの心を朝にした朝
不自然と矛盾のなかをまかり通る嵐が去って午後は曇天
人工の花園に剣たちが舞う薔薇椿薔薇牡丹薔薇薔薇
ポスターが剥がれて垂れる水曜日萌えないゴミは今日じゃありません
煌めいて揺れて流れて渦を巻く 汚れた眼鏡を通して世界は
ふれたものすべてをかがやかせるひとにそうゆうものにわたしはなりたい
「今からはふたりは猫よ。さ、鳴いて」クリームだらけ夏の午後、みゃお
大胆な曲線からなるあの雲はどこの星から来たのだろうか
「乙女の恋を笑うような輩は糞にまみれて窒息死すればいいのよ」
暗転を七回繰り返したあとは舞台の天丼ピンスポ浴びる
「へえ、短歌?無益な事が好きなのね」みぎなかゆびで眼鏡をあげて
目を閉じて風うたう声聴こえたらくちびるを噛み畦道をゆけ
歯車が錆びてたのかもしれないね相談しながらSlow Downする恋
吸盤が腹に眠っているのだろうやけにおとなしいこの猫は
あの声が何度でも何度でも聴けたから大丈夫、でも寒かった冬
消えることのない悲しみが染みついたジャケットは今日もわたしを守る
妄想が世界を喰らうその日までオレンジとミルクをかき混ぜつづける
足の裏///渚のかおり///君の髪///とらわれた指―――― like a photograph
窓をカーテンを貫いて光れ星たちよ 耳を澄ませてここにいるから