夕餉
はな 


南にむかって
角をひとつ 曲る
てのひらに 
陽の照るように
ゆっくり

あなたのほほからたちのぼる
あたたかなあめの 午後は
甘くて
空をむかえる地べたのように
五つのゆびを
ひろげて

夕食前
優先順位をつけるのがきらいなのだと
おにいちゃんが
ビールのぷるたぶを
みんな空けてしまう

そんな、宵


「それでいい」と
腕にかかるお皿のおもさもみんな
あなたが 肯定してください
夏が来る日に

花は 咲く


わたしにはもう
かなしむこともなければ
いつか
過去と呼んだものも
わたしに住んでいるって
知っているので

「おかえり」と
繰返して
こんな晴れる夜なら なおさらに
あなたも
そっと許されますように


気泡はゆれて
あたりをすこし 涼しくする




自由詩 夕餉 Copyright はな  2006-06-26 19:17:03
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