加藤すずこと黒沢乱子
カンチェルスキス








 加藤だ、
 おまえだ、
 セスナ飛ばしたろが、
 ちゃんとしまっとけ、
 って言ったろが、
 加藤、おまえのことを言ってるんだ、
 黒沢、おまえは振り向くんじゃない、
 ホクロが、
 おまえのそれが、
 畜生、
 まるでなんかの穴のように見える、
 煙ったいよ、黒沢、
 おい、加藤、
 グレープフルーツを縦に切るんじゃない、
 横だ、
 加藤、
 セスナ、
 しまっとけって、
 あれほど、
 キスマークができるほど
 きつく言ったのに、
 おまえは、加藤、
 加藤何って言うんだ、
 すずこって言うんです、
 そうか、
 すずこって言うのか、
 母さんは大事にするんだぞ、
 あっ、セスナ、
 ちょうど住友商事のビルディングを、
 ああ、上空に、
 黒沢乱子ってネーム入りの飛行船が、
 黒沢、
 満足げに微笑みやがって、
 おまえの名前は黒沢乱子って名前だったのか、
 どうりで、
 おまえのホクロが、
 そことそこの間にあるそれが、
 なんかの穴のように見えるはずだ、
 畜生、
 俺は、海パンを家に忘れた、
 フレンチトーストが出来上がるより早く
 興奮してきたぜ。









自由詩 加藤すずこと黒沢乱子 Copyright カンチェルスキス 2006-06-25 15:25:29
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