きりん
千波 一也
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を
咀嚼
(
そしゃく
)
している
その
長い長い首の得る高さは
まっすぐにもろくて
翼をもつ生きものたちも きっと同様で
ぼくの憧れとやらは
なおさらに危うく
つのる
いま 梢にひとつ緑が揺れた
あれは ぼくにとって
どのくらい無縁であっただろう
陽だまりも さえずる羽も
やさしく絵画の枠を出て
きりんは
相も変わらずに
緑を
咀嚼
(
そしゃく
)
している
そらへの角度は知らずにおこう
と
ぼくは
想う
自由詩
きりん
Copyright
千波 一也
2006-06-23 18:19:05