原口さんへ
EnoGu

貴方は病気。 私も病気。

病気一般ではない、特定の人称に属する「この病気」を語るのなら貴方と私が違う病気であるということをひとまずは前提にしなくてはいけない。

たとえばいま私が。

どうして「この文章」を書こうと思っているのか、私、はそれを誰に語ることも許してはならない。 誰かの主観を通じてそれを演じさせてはならない。 それはただ、たったいま、私、が書きつけつつある「この文章」そのものによってのみ、語られているのだ。

私はドンブリ一杯のガーリックバターを前にして絶望的なジョークを飛ばすようなタイプの人間である。

ミロのヴィーナスの腕に関してはあの断面そのものをナデナデしたいと、ペロペロしたいと、スリスリしたいと、そんな感じの人間である。



私は正当である健康である病気ではない、ということを最終的に証明できると信じているような人間はここには居ないと考えて差し支えないのではないか。 そもそも貴方とか私とか、とは他人の詩に心打たれたり、その挙句にああいうのちょっと自分でもやってみようか、などと考える、そんなお人好しな連中のことである。






散文(批評随筆小説等) 原口さんへ Copyright EnoGu 2003-07-26 06:27:17
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