ふた
そう、
プラスチックの　あじがするから、
って
ヘンリーボーンのスカート
さくらがいのゆびさき　そろえて
ふた
とって
本日のコーヒー　を　のむ　
ふた　を　
する


すこし　そとにでてみる


ガラスごし
みえない　
かぜに
ほおを　かす
ああ、　
さむい。
ほおが
さむい
やめて　
みる
さむく、　
ない。
ほら　みたことか
きせつは　おれが　
つくっている
くもの　
くらい　りんかく　
こがす
たいようは
しらない
おれの　ところの
しっているのか
しらない　
けれど　
いいと　おもう　
きょうなんかは


すこし　ちかてつにのってみる


まえのしんなりポインテッド
あしをくむ　きっと　きっと
くみかえる　
ほら　みたことか
くみかえる
くみかえつづける
くんでいないと　
すわれない
それだけのこと
おれは
きみの　そのこめかみの
すいて　ゆらめく
かみの　かなたの
しかくいランドスケープに　
ひかれているというのに
ショルダーバック　
バナナフィッシュ　ひろって
なぁ、
スノビズムでいこうぜ、って
きょうを　ほんと
サイコーな
サイコーなきぶん　
って　
わらわないでくれ
おれは
ここまで　きた　
なんて　
いわない　きっと
あるきはじめた　
ところを　しらない
それだけのこと　　


よみかたもしらない　えきに　おりた


ひとりも　
おりない
えきだ
すてきな
かいだん
おれは　さがしたり
ばんごうけいじ　ながめたり　
することなく
こしかけて
バナナフィッシュに
てをふるまで　
まんまと　ここに
いつづけて
くみかえつづけて


ふた
とって
本日のコーヒー　を　のむ
ふた　を
する

註１）バナナフィッシュ
「A perfect Day for Bananafish」J.D.Salinger "NINE STORIES"
註２）初出　現代詩フォーラム「スノビズムでいこうぜ」
　　　推敲　某詩誌へ投稿