硝子越し
狩心
硝子越し
太った子供が頬を赤らめて
駅のホームを走る
開かない目 そのままで
悪ふざけ 転ばせてみる
硝子越しの世界
開かない目
開けたつもりで目の当たりにする
母に飛びつく子の姿
電車が止まり消滅していく
硝子に映る自分の姿
昨日と同じ駅で降りて
昨日と同じ建物へ向かう
エレベーターが開き
開かれる目
なぜここにいるのか分からぬままに
エレベーターと共に上昇していく年齢
エレベーターの上昇で到達する硝子の溶ける温度
開かない目 そのままで
悪ふざけ 液体になる
手放した現実 取り戻す為
手放す日常 今日が辞表の時