即興詩「新しく眠るために」
けんご

睡魔の中で詩を書いている
まだ見ぬ1行を探して
視界は夢の中へと入っていき
詩を書いている

明るい緑色の柑橘系アルコールに酔い
体は蒸気する
暑さの中で目が覚める
ペンを握る

夢は同じところを行き来する
浜辺でぐるぐる同じところを

浜辺に寝そべる
裸で

またこの場所だ
月影の岩場を頼りに
彷徨う私は
また眠って夢を見る

四角い机の角に
エロスを感じる
異教徒の夜のように
私は夢魔にさい悩まされる

書けない
書けない
私にはこんなものしか

ぐるぐる回ってごらん
ぐるぐる回ってごらん

さあ見よ 私の
美しい
愛の揺りかご
ゆらりゆらり

さあさあ さらさら眠れ
さあ さらさら眠れ

夢の中で
また詩を書く
インクを投げ出すんだ
ベッドの上に
汚れたベッドは
さらさら すらり
乾いたデッサンのように
私を包み

連れて行ってくれる
まだ見ぬ場所へ

新しくなければ
意味がない時だってある
千に一つの夢が
そうであるように

さあ みんな みんな
滑っておいで
丘から丘の谷間へ
みんなで
美味なパイを食べるため


こんな夢を見た
新しいことなんて何もない
この地上には
新しいことなんて

でも それを探してペンを走らせるだけで
ぐるぐる回るだけなんだ

ぐるぐる回ってごらん
ぐるぐる回ってごらん

天よ 開け



自由詩 即興詩「新しく眠るために」 Copyright けんご 2006-06-17 23:19:38
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