雨だれ
ku-mi

花の名前を覚えた あの日
愛しい人が指差した
ライラック
陰りゆく歩道
いまにも 雨

コンビニの駐車場
一匹の子犬
しきりにしっぽを振りながら
通り過ぎる人を見上げる

その先の空が
グレイであることはわからなくても
花の香りには
きっと気づいている
私と同じように

鼻の先に 耳に
しずくが落ちた

誰のものでもなく

透明の傘を広げて
ゆがんだグレイを見つめる
ミュールのつま先が
不快に溺れていくのだ

窓からこぼれているピアノの音
上手に拾えたら 子犬
うちへ帰れそうな気がする
首輪の跡が消える前に


自由詩 雨だれ Copyright ku-mi 2006-06-10 01:28:16
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