曇り空
松本 涼
雲は薄い水彩画
静まる街の片隅でそれを見上げる
風は止まない
誰かが植えた大きな木の葉が
不規則に踊り続けている
ふいに灰色の鳥が目の前の枝にとまり
世界のニュースを告げるように
高く力強く鳴く
きゅーきゅるるっる
きゅーきゅるるるう
唐突に鳥は飛び去る
どこへともなく
私の哀しみが歩き出す
低く飛ぶ
飛行機が空に溶けていく
自由詩
曇り空
Copyright
松本 涼
2006-06-09 20:00:05
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