煉瓦を積んだのは朝日に知らせるためではなく
士狼(銀)




1
光の棲む場所に立てた、
煉瓦の墓標は
あの子の水晶体の
最期の反射によく似ている

2
朝日がなぞった煉瓦の質感は
どこか罪悪にも似た
紫陽花の萼の如き裏切りの反芻で、
あった

3
右腕の倦怠感は
夢を犯し、無意識を苛む
煉瓦が隠したその痛みだけが
或いは救いとなるのかもしれない







自由詩 煉瓦を積んだのは朝日に知らせるためではなく Copyright 士狼(銀) 2006-06-09 19:03:58
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