独占欲
蛙の子

欲しい「もの」を手に入れた。
一番綺麗な方法で 一番誰かが傷つくやり方で
僕の欲しい「もの」を手に入れた。

満足してるよ?
もう欲しい物はない。
手に入れた「もの」が
僕の手の内にあることが不服と言っても
僕のこの手から逃してやるもんか。

本当に 本当に 
使い物にならなくなるまで
壊れてしまうまで
僕しか見えなく無くなるまで
僕の傍から離してやんない。
誰が何と言おうと
これは僕の「もの」なんだ。

毎晩毎晩 無理強いして「もの」を酷使する僕だから
目の前に現れただけで 「もの」は震えるんだ。
世界の終わりを見るような「目」で僕を見るんだ。
怒りと 絶望と 悲しみに満ちた「目」で僕を見るんだ。
その「目」が堪らなく愛しく 快感を煽る事を 「もの」は分かってないんだ。
必死に「声」を堪えようとする様は 僕自身を煽る事を分かってないんだ。

僕は有無を言わせず「もの」を 
僕しか見えなくなるように

酷く 酷く 酷く

愛してあげる。


こんなにも愛してるんだ。
僕の想い「もの」に通じてないはずない。
大丈夫 きっと今に僕だけを見るようになる。
何の根拠もなかったけど 僕は「もの」を愛してたから
「もの」だって 僕を愛してくれてるって疑わなかった。


そう


血まみれになって動かない「もの」を見るまでは。


自由詩 独占欲 Copyright 蛙の子 2006-06-08 18:17:28
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