無を抱いて
umineko

無を抱いて生きる
私の
存在が無で

誰かと笑いあったり
じゃれあったり

先輩のお通夜に行く
病床の彼は
いつも怖がっていた
功とげ財を成し
誰もがうらやむ位置にあってもそれでも
怖いよね

無を抱いて生きる

焼香の長い列について
私は
ぺことおじぎをする
もういないたましいに
私は震えてしまう

もういない
もういない
私もたぶんあなたと同じ

アクセルを
すっ、と踏みこんで
ハンドルを
左に回せばそのまま海だ

帰りたい場所があるそれは言えない
言えない

切符は
突然降ってくるのだろうか

絶望
できる才能が
私にはない

無を抱いて
私は
生きているのか

風なのか





自由詩 無を抱いて Copyright umineko 2006-06-07 04:59:28
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