海とつながっている
銀猫

海と繋がっている

照り照りとした
小さなオパールをつまんだとき
海水の温度のようだった

人いきれにむせる空気の中で
そう感じたのは
単なる錯覚ではなく
この生命の何処かで
潮の満引きが
繰り返されているからだろう


海と繋がっている

空調機が
遠いはずの海風を
一瞬吐き出し
縮こまった手足を
自由に浮き沈みするひれに変えようとする

そこから拡がった海は
永遠のように鳴り止まぬ潮騒と
白く泡立つ波打ち際の
弾ける水の感触が
懐かしく
ただ母のようで

わたしは割れた貝殻の一片になりたいと願う


海と今日は繋がっている
波に忘れられた貝は
少し遠くへと連れ去る引き潮を願う





自由詩 海とつながっている Copyright 銀猫 2006-06-06 15:14:00
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