風の街 ゆらぐ心に
atsuchan69

それから、それから、
時代が吹き飛び
ビルが、街ごと飛んでゆくつよい風のなか
許しは君の笑み
涙は僕の頬を伝って
声にもならないけれど、
判るね?

忙しく、電話が鳴り
ファックスを頼む
あす出張、新幹線予約往復
会議は九時から
ああメールも届いている
何だっけ?
そうだ君が好きだ
でももう行かなくちゃ

それから、それから
ローマだろ、アテネ、パリ、ニューヨーク
悪の枢軸
阪神タイガース万歳!
今忙しい、
ああ飲み会にも行かなきゃ
何だっけ?
また戦争かよ、いいかげんにしろ!

回線が火を噴き、パソコンが破裂する
それでも朝から夜まで
君はそこに座り、
僕は街をさまよい
書類はいつも山のように積まれている

ばら撒かれた部品を避けながら、
廊下を歩く 僕も
ねじ山がすこし磨り減った
部品だ。


自由詩 風の街 ゆらぐ心に Copyright atsuchan69 2006-06-06 09:21:08
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