オマル・にせもの・ハイヤーム
AKINONA

花は咲き乱れ、酒は旨く
美しいお前が今宵、我が隣に侍る
さあ酒姫よ満たせ、この杯を
そして満たしてくれ、この胸をも

愛するのと愛されるのは
一体どちらが容易いのですか?
可愛い酒姫よ、己の胃にこう聞くがよい
卵と鶏、お前はどちらが消化し易いかい、と

さあこの杯に酌し、よく聞くが良い酒姫よ
愛という名の酒で強くなれるのは
もとからこの類の酒に強い人間だけなのだと
弱い人間には毒、たとえどんなに旨かろうとも!

失恋したのだ、と嘆くのは愚かなことだ
恋は失うものではないのだから
注げ酒姫よ、恋は失った瞬間に永遠に変わり
この胸を蝕みながら生き長らえてゆく羽虫

この世は確かに儚いかもしれない
だが酒姫よ、聞くが良い
花火は空をたった一瞬彩るからこそ美しい
もし常に空に留まればただの風景に成り下がる

神を信じることで殺し合った人間と
神を信じることで生きてゆけた人間は
どちらが多いだろうかと問うてくれるな
さあ酒姫よ注げ、いざこの不等号に酌するがよい


自由詩 オマル・にせもの・ハイヤーム Copyright AKINONA 2006-06-06 09:07:00
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