芽吹き
葛西佑也

風にゆらめく、
踊り子たちが
激しい春に
ときめいてゆく
日常。

(ゆうや、ゆうや
あなたがぼくを、呼ぶのは
小犬の甘噛みに似ている、の。
ゆうや、ゆうや)

新宿に居場所は無いの。
ゆらめく葉、と
きらめく窓、が、
おいしそうなの
そう、ぼくは新宿に
食べられて。

踊り子たちが、
新宿できらめいて
窓の光
世界の中心の、
交差点から
芽吹く、いのち。

もう、ぼくを呼ばないで
踊り子たちの
独善的な動きに
夢中になっていたら、
それでいいじゃない。


自由詩 芽吹き Copyright 葛西佑也 2006-06-04 14:52:08
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