汚辱に塗れた人々の名
静山和生

            
            ゆれる葉の
            
            一枚が

            ためらうように
            消え入る連鎖
            に与えた
            私という名

            人称の枯れた
            残余の原

            に流れ去る
            一枚の
            私という筆圧

            ここでは
            かしこに
            無数の実は
            私たちという根を
            しみ込ませ

            あなたは幹

            酷薄な森の開かれ

            与え続けることの
            疲れ果て

            それでも
            それゆえ葉は
            奪うことさえ
            いとわずに

            雨

            陽光と

            静謐な果肉の

            連鎖を断ち

            それ は
            たえず
            繰り返され
            それ が
            繰り延べられる

            一枚のふるえ

            一葉の筆圧

            無数の震える筆圧の名は

            落とし込む
            深度に吹かれず

            風 に似た
            震える中断を

            あざむいて
            声を
            喩の

            音の響きを
            手放した大気へ
            撒き散らす

            あなたは幹

            一枚の私の落葉

            葉の私たちの落ち続ける

            酷薄な森の開かれ


自由詩 汚辱に塗れた人々の名 Copyright 静山和生 2006-06-03 15:00:12
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