汚辱に塗れた人々の名
静山和生
ゆれる葉の
一枚が
ためらうように
消え入る連鎖
に与えた
私という名
人称の枯れた
残余の原
に流れ去る
一枚の
私という筆圧
ここでは
かしこに
無数の実は
私たちという根を
しみ込ませ
あなたは幹
酷薄な森の開かれ
与え続けることの
疲れ果て
それでも
それゆえ葉は
奪うことさえ
いとわずに
雨
陽光と
静謐な果肉の
連鎖を断ち
それ は
たえず
繰り返され
それ が
繰り延べられる
一枚のふるえ
一葉の筆圧
無数の震える筆圧の名は
落とし込む
深度に吹かれず
風 に似た
震える中断を
あざむいて
声を
喩の
音の響きを
手放した大気へ
撒き散らす
あなたは幹
一枚の私の落葉
葉の私たちの落ち続ける
酷薄な森の開かれ