この子 大きや
まほし
この子 大きや
まろき頬を
背なにのせて
まどろむ 吾が子
金魚の べべ着て
へご帯
締めて
から ん ころ ん
赤い つまさき
鼻緒で
すれて
から ん ころ ん
宵を 縫うように
さ迷い
ゆけば
ちょうちん明かりに
和えかに匂う人々
吾子の小ささに まなじり細めても
この子 大きや
をんなの手には
重たき血汐
果てなき夜空に
いつか
ひとり
この子の をとこおや は
暮らしに疲れて
湯気が立つように
いったい何処へ
消えたやら
火照りは 続いて
田畑は 枯れて
祭りごとは
いのちを 吸って 脈打ち
この子 大きや
川面に腕を
伸ばす
月影
幾久しく
流れよ、と
祈る