スクランブル交差点
こめ

真夜中にはかなく舞い飛ぶ

黒アゲハは暗闇にとけ込んでいなくなった

夢の見過ぎで狂った世界の

中で僕はまた孤独のままで

君が泣いた涙がはじけて

世界に響き渡った

一つだけの僕の心片隅に

まだもろい音を立てながら

オルゴールが鳴っている

悲しみのドアを開ける為の

鍵は君が持っているはずだろ

まぶたのうら側に張り付いてはがれない

本当の僕のすがた

この胸に光カケラは一つだけ

大音量で流れるノイズが

脳髄をふるえさせる

駅のホームの中で

僕はひとりぼっちだったよ

消毒液で僕の全ての

毒素を抜き取ってくれ

ミサンガにたくした願いを

忘れてまた別の願いを込める

つむじ風ふく都会の

スクランブル交差点

で赤信号なのにわたっている

非常識な僕

ガラスの破片で傷ついた

僕の手のひら

ぽたぽたとたれ落ちる

血でコンクリートに虹を書いた

流れ星が一つ流れて消えた

掴んでいたはずの風船が

いつか空のかなたに消えていって

宇宙まで飛んでいった

飛び出した僕らには羽があるよ




自由詩 スクランブル交差点 Copyright こめ 2006-05-29 21:09:28
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