遠心
霜天

それ、心に決めた日よりも言葉に似て
擦れ違う日々の基準が誰かの
足音に少しずつ詰め寄られて
僕らは合わせた手の、窓ガラスに触れた
薄い汚れ
それでも風は透明になれる
それでも風はどこか透明になったと
思い続けていける


遠く離れていこう
遠く離れていこう
それだけが中心からひとり、言葉だけを続けて
それ、心に決めた日の薄い透明な汚れに見えて



忘れることもありかな、と思える
それだけが正当な夜の音にも思える



昨日脱いだワイシャツが
僕のままで横たわっている
ひとのかたち
いつまでも崩れないのなら
見つめることも出来る、と思える
リズムにならない呼吸に
咳をひとつ


それ、夜に
一人ひとりの夜に
触れ合う音だけが聞こえて
また、リズムになれなかったな
とか
合わせてみれば鳴り止まないはずの
青い屋根は揺れて
遠く離れていこう
それだけをただ、言葉に似せて
目覚めていける沈まない朝だ

ここに想うことを手を合わせるように集める僕の
小さい影は今日も行き過ぎる


自由詩 遠心 Copyright 霜天 2006-05-28 01:49:52
notebook Home 戻る