光鉛領
木立 悟
生きものたちが空を揺らし
雲の間に鏡をつくる
午後から夜へ
鏡は割れ
鏡は増え
ひとつひとつに
生きものたちの息を映す
青 灰 灰 青
銀 燐 燐 銀
まわり ふちどり
分かれ はじけ
冷たく乾いた四月を去る
空を追われ
細かに細かに割れながら増えながら
さらに細かに鏡は降って
見えない光の四月と五月
野をめぐる道 棄てる道
生まれ重なる十二の季節
帰る地のない生きものの手
鏡を忘れた生きものの目を
かがやく鉛に染め変える
自由詩
光鉛領
Copyright
木立 悟
2006-05-24 23:16:37