ラウンド・ロビン
大村 浩一
さえずるのか
さえぎるのか
逆らうのか
さかるのか
騒ぐのか
避けるのか
さげすむのか
叫ぶのか
探すのか
さすらうのか
さまようのか
指し示すのか
高くへ
遠くへ
見上げて
ではなく
空から
見られて
正しいのか
爛れるのか
辿れるのか
辿々しいのか
言葉
の小鳩
出来るのか
出来ないのか
出来るもんか
出来もしないのに
言葉なんか使って
癒されたいのか
それとも
騙されたいのか
ただ、さえずっていよ
自分の小ささに
怯えながらも
喉の感触で
ノートの
最初のページの様に
光る線路が延びる
その天末線を忘れられず
ひたすら反復する朝が脳髄にあって
思わず傷がひらく
そこから盛り上がる
肉 になる
(物言わぬ者の内側
抉りに抉れ
底が抜ければ出られる
5月の色彩(いろどり)に)
見えるものに
耳をすます
瞳と言葉と
もっと高くへ
そこからなら
君が居た大陸が見えるだろ
生きるもの滅びるものひかり
舞い降りて
優しく眠ることも
気の済むまで
続けな、子、鳩、声、声、
力尽きて
突き落とされるまで
さえぎる
さまよう
さすらう
逆らう
晒す
探す
ささげる
さえずる
2004/02/14 白山『コトバコ』にて朗読
2004/02/16 一部改稿