嘘をついた王様。
蛙の子

大切で 大切で 大切すぎて
毎日肌身離さず持っていた 僕の宝物が 今日 音を立てて 壊れた。


自分の不注意で 壊してしまったんだ。
それは 分かってるよ。
壊れたものは 二度と戻らない。
それも 分かってるよ。


でも僕には 今も そして これから先も 
必要だった 宝物が
壊れたなんて 認めない。


僕の所為だとしても 『僕の宝物』は無くなっちゃいけない。


だから
きっと 僕は演じてる。
そこに あたかも 『僕の大事な宝物』があるように演じてる。

そして 僕の周りの人たちも
僕の嘘に付き合ってくれるんだ。
哀れみや 同情で 皆付き合ってくれるんだ。

それで 満足できるなら良いじゃないか。
誰も 僕を 止めや出来ない。



でも
もし
何も知らない
無垢な子どもが
純粋な目で
僕に真実を告げたら



僕は きっと この世から

消えて無くなるだろう。


自由詩 嘘をついた王様。 Copyright 蛙の子 2006-05-22 18:58:51
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