沼先生なんていやしない
虹村 凌

先生は何時だって正しかった
僕等は何時だって間違っていた
それでも僕等は僕等を正当化するのに精一杯で
何時だって先生を毛虫みたいに嫌っていたんだ

何もわかってねぇって殴られた

行儀良く真面目に毎日をこなして
窓の校舎だって傷ひとつ付けなかった
誰かを傷つける事で見つける存在意義は不安だった
ただ何もせずにいる時間は恐怖だった
ただ敵が欲しかっただけだ

勉強しときゃ良かったって後悔した

煙草の煙
ライターの火
街灯
電話ボックス
携帯電話
ポータブルMDプレーヤー
自動販売機
全ての夜を照らす全ての光が
道を照らす手がかりに見えた気がした

先生の言葉を信じてりゃ良かった

鼻水も涎も垂れ流して泣きじゃくった
言葉なんて信じなきゃ良かった
ロックなんて知らなきゃ良かった
でも生きてて良かったんだ
そう思えるだけマシになったんだよな
そうだろう?

俺はどんな言葉も信じない
そんな俺自身を俺は一番信じて無いんだぜ
だから
どんどん声をかけてくれよ


自由詩 沼先生なんていやしない Copyright 虹村 凌 2006-05-21 18:52:01
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