もしかしたらの夢
長谷伸太

いま眠っている母さん
母さん、良い夢を見ていますか
私は母さんに
一通の手紙を書いています

母さん今までごめんなさいでした
私は死にます
私のことは忘れてください

私が私であっては
母さん、悲しいことばかりですから
やっと解かりました
私は自分をこの紙キレに包んで
お墓に埋めます

悲しくない
悲しくありません
私は
今までの私は

生きていたらもしかしたら


きれいな夢になりました

新しい命の私は
何も持っていなくて頼りないし
今どこに立っているのかすら
よくわかってはいないけれど

母さん

母さんが今度こそ喜んでくれますように

母さん

どうか良い夢を


自由詩 もしかしたらの夢 Copyright 長谷伸太 2004-02-16 20:10:54
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