寝返り
たもつ

きみの睡眠の中を走る
列車の軋む音を聞くと
世界が本当に
平面であることがわかる
ぼくらは座席に並んで腰をかけ
お手製の弁当を食べる
屋根の瓦が一枚落ちかかっているのだ、と
きみはさっきから
そのことばかり心配している
列車は平面の淵を行く
時折がたり、と揺れ
その度にぼくらは淵の向こうの
何も無い方へと
振り落とされそうになる
まだ夜の明けない頃
きみが寝返りをうってる



自由詩 寝返り Copyright たもつ 2006-05-19 14:59:38
notebook Home 戻る