君は花
山崎 風雅

 時を告げる鳥がやってきた
 蜃気楼のように昼は過ぎ
 夜の帳が降りる

 すすけた心
 渇いた涙
 行き先のない情熱

 生きること
 その難しさ
 不器用に今日を過ごす

 向かいのお爺さん
 
 「今日も雨やなぁ」

 せわしなく過ぎる夕方に
 自分の時間をもっているお爺さん

 僕には自分のお爺さんとの思い出がない
 
 ああ うたかたの日々よ
 得るものなんかなくて
 失うことばかりだ

 そんなに急いでどこいくの
 急かせないでよ
 もう少し休みたいから

 胸にやどりし思い出に
 今日は花を飾りたい
 色は黄色で
 派手じゃないほうがいい

 僕は夢
 夢は君
 君は花
 


自由詩 君は花 Copyright 山崎 風雅 2006-05-17 17:44:17
notebook Home 戻る