無題   (本を捨て風を追え)
たりぽん(大理 奔)

本を捨て風を追え
光の鉄筆を持ち
刻むがいい
化石となり残る言葉を
考古学者が
その意味を追うだろう

ノートを捨て雨を打て
声にならない慟哭を
写すがいい
降り積もる言葉で
いつか堆積は
巨きな大地になるだろう

筆を捨て影を聞け
涙に傷ついた鼓動を
感じるがいい
文字ではなく魂を聞き
その世界に震えるだろう

そして
また戻ってくる
己が心の存在を
洪積世の化石にすべく
その手に持った
鉄筆で






自由詩 無題   (本を捨て風を追え) Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-05-12 01:19:04
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