変身
壺内モモ子

携帯電話の音で目が覚めた

体が重い
携帯電話を掴もうとしても
手の平からツルッと滑ってしまい床の上へ
落ちた携帯電話を拾おうと
重い体をなんとか動かし
ベッドから降りる

うんしょ、うんしょ

たまたま床に落ちていた手鏡
写った私の姿
ピンと伸びたヒゲ
垂れた目
つるつるの肌
私はアザラシになっていた

ああどうしよう、どうしよう
でもちょっとかわいいかも
私はアザラシ

誰からの着信かわからないけれど
携帯電話はなり続ける
私が人間に戻るまで


未詩・独白 変身 Copyright 壺内モモ子 2006-05-10 07:45:55
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