風景に溶け込んで
山崎 風雅

 明かりが灯らない側道を
 綱渡りしてきた午前1時の伏見港公園は
 トラックの行き交う騒音と
 今年初めて聞く虫の音に染まっていた

 オレンジ色した街灯が
 川の水面に反射して
 誰一人としていない公園で
 その美しさを露わにしている

 深緑の川でポチャンと魚が跳ねている
 柳の葉はしなだれていて
 春風が穏やかに優しく吹きぬけて靡いてる

 今この地上で嘆く人 
 歓喜に包まれている人
 眠る人
 眠れぬ人がいるんだ

 僕は独り
 雲で銀河がさえぎられた夜空を見上げた
 川の流れと時の流れ星の流れ
 そのなかで飽きるほど繰りかえされる日々の生活
 コンクリートとアスファルトの中で
 もがいて悩んで苦しんで
 アクシデントを怖れながら
 窮屈な生活を強いられても
 穢れされたくない気持ちがある
 
 これから夏が訪れる
 くすんで色褪せた風景も鮮やかに緑に栄える
 清らかな空気を吸って澄んだ気分になった
 たぶん僕の姿は
 この夜の風景に溶け込でるに違いない




自由詩 風景に溶け込んで Copyright 山崎 風雅 2006-05-09 03:18:19
notebook Home 戻る