ため息
ふるる

ため息は
紅茶の香りとともに
茜色の椅子ににじんでいく

夕日をスプーンでかき混ぜたら
もう一度新しい夕日が
生まれ変わる

角砂糖は
白い四角い砂のお城
きらきらと輝くけど
さらさらとほどけていく

お城の中で
うつくしいお姫様が生まれたわ

お姫様はため息なんかつかない
ミルクを沢山飲んで
げっぷするだけ

お祝いの品が山ほど
ラクダの背中に乗って運ばれて
でも宝石はお城につくまでに
みんな星になって歌った

泣かないで
お姫様
銀のスプーンの兵士があなたを守る
二人はやがて恋に堕ちて

お城を抜け出すお姫様
遠くの白い四角いお城を振り返る

銀色と漆黒の睫毛で
昨日は振り返らないでしょう?
金色の髪で
未来を見るでしょう?

もう一度スプーンでかき混ぜたら
また新しい夕日が生まれた


ため息は
お姫様が持って行ってくれた





自由詩 ため息 Copyright ふるる 2006-05-08 22:17:34
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