回転木馬
あおば

回転木馬で日が暮れた
ふらり立ち寄る若侍は
ガキ大将に殴られては
顔を赤くして騙す日々
照れたふりして歩く

風来坊の雷が落ちて
足下に火がついて
石油缶に引火して
部屋中が火事だ!
喚くから
うるさい!

一喝して眠る
目が覚めたら
焼け野が原に
白い月が落っこちて
のたうち回っている
水を掛けてやりたいけど
井戸も焼け落ちて
水がない
コンビニも焼けた

コンバインを運転して
稲刈りに行ったきり
まだ帰ってこない
麦わら帽子の赤ん坊
黒こげの大蛇
藤蔓で編んだ篭の鳥

風鈴が鳴る初夏に
よちよち歩きの
初めての赤ん坊
井戸の周りで
嬉しそうに
手を叩く


未詩・独白 回転木馬 Copyright あおば 2006-05-08 00:29:56
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