月の夜道をひとりで行けば(うさぎに出会う)、
夕凪ここあ

月の夜道を行ったって
どこに辿りつく訳でもない
ただ
視線を先へと伸ばしても
あの光は遠すぎて、見えない

月の夜道を歩いたら
立ちすくむ銀うさぎ
あそこから来た訳ではない、と言う
君と同じだよと残すと
夜の先へと消えてしまった

ひとりきりで見上げれば
私はもう忘れてしまっていた

月の裏側を見る方法も、見たいかどうかさえ

いつからか自転車を乗り捨てた
ゆっくりと呼吸に合わせて歩けば
何かあの光に指先が触れる気がした あの日よりは近い

月の夜道は
今日も私の前を行く
うさぎが消えていった方向を真っ直ぐに見据えると
ちゃんと自分の家へと続いていることがわかる

こんな簡単な日常を
見えるか見えないかほどに

月の夜道は
今晩は。


自由詩 月の夜道をひとりで行けば(うさぎに出会う)、 Copyright 夕凪ここあ 2006-05-06 22:42:01
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