茉莉咲く
きりえしふみ

花のあるところに 埋まってください
日向の多いところで 眠ってください
淋しくないように 小鳥が好む土地で
粟の穂が 棚引いているような地で
魂だけは 健やかに 休んでいてください

出来るなら 昼が長い地で
出来ないなら せめて
星たちが たくさんお喋りを交わす
その下で
ふたたび 巡り合う その日まで
どうか 君よ 休らっていてください

いとしいややよ
その願いのすべてが叶っても
暫し わたしは雨雲になって
大地を湿らすことでしょう
大空を知らない君が
あらぶる風を知らない君が
幼いままに 地中へと
飛び立ってしまった
今 暫しの間

ややよ 君よ 不思議ですね
病に臥して こじんまりした
可愛い箱に捕らわれていた君が
死して また 地下に繋がれるだなんて
春の終わりも知らずして 散りゆく
春の花があるのだなんて

君よ
君は その名に因んで
次目覚めたときは 花になるのですか
地中に足を捕らわれたまま
小さな黄色い花を 咲かせるのですか

問うても
君よ
君の その 可愛い名前を
親しみを込めて 口にするとき
もう 行く風しか 応えてはくれないのですね

©shifumi_kirye 2006/05/06


自由詩 茉莉咲く Copyright きりえしふみ 2006-05-06 16:04:16
notebook Home 戻る