熱−Revision
シャーロット

 ゆうぐれの中でじっと目をつむっていると
 血ではない何か温かくて
 液体の優しさの
 何かとても温かくて
 カンケリの音が通り過ぎるまで
 永遠のはんぶんの時間で

 空は焚き火のように
 小さくちらちらと燃えている
 土曜日は塾帰りのコンビニで買ったバニラアイスクリーム
 が小さくちらちら
 燃えている空のすみずみに
 壊れるように
 溶け始めるよこで
 雨漏りの音楽が
 外の全てを包む込む

 わたしは
 夏が来たことも知らず
 離された子どもだった
 それは何にでも
 直結して
 基本的な熱さでじりじり
 燃えていくのだった

 たぶん
 咳き込んでしまうくらい
 まっとう瑞々しい
 それは
 あのころと
 何も変わってないはずだ
 ただ街を見下ろす
 ような儚さが
 独立した夜のむねの
 幾つもの
 胎動だけを
 置いてけぼりに

 氷の刃が
 刺さったような
 目覚めの重たさ
 何に目覚めているのか
 その重たさを知れる日は
 もう近いかもしれない

 脈拍の中で
 産まれた私たちは
 今大切な何かを
 授かろうとしている

 それは私たちが
 永遠のはんぶんの時間の中で
 切れ端のように
 泣き出してしまいそうな
 大切な何か


自由詩 熱−Revision Copyright シャーロット 2006-05-04 13:52:22
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