ひと
きりえしふみ


ひとはみな
さみしいひと、なのです
おんなのひとは
心の慰みに 明るい色と楽しい柄で爪を華やがせ
さみしい心が賑やかになった気に なりたいのです
埋まらない心の物悲しさを知ってはいても
飾らないではいられないのです
花瓶に花がないと さみしいのと、おんなじです

ひとはみな
かなしいひと、なのです
おとこのひとは
足りない時間の埋め合わせに グラスにワインを注いでは
自分の時間を 漂わせたいのです
高価なタイピン光らせて 自分の価値を主張したいのです
変わり映えのない日々へのはなむけに

 みんな そんな かなしくて
 さびしいひと、ひとたち、なのです

滑稽ですか?
と ひとをうたぐって
飾り立てないと あるいていけないのです
名刺がないと 名無しになってしまうような
指輪がないと 輝きをなくしてしまうような
おそれで みんな
右に倣えがやめられない

 さびしいひと
 かなしいひと、なのです

(c)shifumi_kirye 2005/5/27


自由詩 ひと Copyright きりえしふみ 2006-05-01 00:23:27
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