弔い


ゆるいカーブのようでした 尾をふって泳ぐ
さかなでした えんえんと沿って進むだけの
からだは速度を知らずに うちのめすバット
を聞きました ひびくその硬さにふるえまし
た きみのこえで呼ばれるわたしのなまえが
みなもにうすく浮かんで からだとおなじ揺
れ方をした
 拡散するソーダ水のひずみがすべらかな
 肌を軋ませ、伸びる影は窓枠からはみだ
 してゆうやみと遠のいていく。しののめ
 に、ひらく花をおもう。はなびらと共に
 こぼれたものの居所を、だれか、知りま
 せんか。
どこまでもどこまでもどこまでも続くカーブ
には笑い声だけが膨らんでゆうひに射られた
なまえは進むたびにまた欠けていきますさい
げんのふちに濡れたかげろうのこえをみつけ
ました喉笛はどこに、あるのでしょう発され
る、ことばが見えない は、じめからどこに
もなかった の、かも しれないカ ーブが
削れてい、きます ことば、が 見
えませ、ん 見えずに呼んで、いる
の です、か か、らだ からだの
な まえを、呼ぶ こえ
暮れて、いく、
の に         わたしたちもっと
さわりあっていたかったさわるたびにわたし
たち軋んでせかいじゅうのたいようがひとつ
ずつ暮れていくのを数えたもっとはだかでい
たいなあきみとはだかでいだきあっていたい
さいごのたいようが暮れるまでさわりあって
軋んでいだきあってたいようがわたしたちに
暮れてつなぎめをとかしたらわたしたちもう
だれでもないでしょうなまえも呼びあえない
でしょうどこにもいけないねもうよるがよる
がきてもたいようは死ななくていいんだよ数
えられないいゆうぐれええなんてえええああ
あああたたかいんだろう/すべて、の/ちを
まぜようまぜようよまぜようちをまぜるしか
ないんだようううっっわたしたちのからだほ
らこんなにえきたいなのあたたかいのもうな
にもなくさないのわすれることさえできない
のお/だからすべて/すべて、が/ながれて
いくよもう死ななくていいよね笑えばいいよ
ねもっときみがあっ笑えばいい笑えばいいい
いいいいいい、 いい い けないどどどこ
にもおさわれないいい笑わないい笑わないき
みのめがみどりいろにとうめいに澄んでいて
あああわあたしの吃音が干上がり彷徨いどこ
か男の首に張り付こうとしている陽炎の魚が
きみのめに飛び移ろうとする(向こう側には
照りつける)くらがりの灯火燃え上がる男の
首は噛み跡どおりに朽ちていくくくくくくち
びるが冷えている舌が包まってえわたしの吃
音んんんうっっ(向こう側には照りつける/
向こう側には照りつける)死なすのですか死
なしてゆるすのですか死なしゆるし死なして
しまうのですか死死ななければ死ななければ
死死死なななないでええっ(向こう側には照
りつける/向こう側には照りつける/照りつ
ける太陽(太陽っ!))まぜようま、ま ま
まぜるしかないんだようううっっううっltul
ltuultuu u uu lt u uuu u
境目をなぞるさかなの うろこの隙間
噛み合わない記憶の穴から
四方へと育つ青い芽を摘む きみの
歯によって起こされたノイズが目の中でこだまして
すべてがやわらかになるのでしょう







 


 





自由詩 弔い Copyright  2006-04-30 17:19:30
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