シュガーブラウン色の髪の少女
純太

その少女の玉手箱は
最上階の右から三番目

上りきるとすでに
玄関のドアは少し開けられて
少女は風に挨拶をしながら
俺を見ている

「きょうはなにしてあそぶ?」

部屋に入るとすぐに
俺の心を代弁してくれたので
カレンダーで遊ぶことにした

これがいちだよー

これがぜろだよー

少女が俺に教え始めている
そして今日は
少女のさざ波が

「あっ この すうじ
 かぜがふいて たおれそうだよ」

そう言うと
ダイニングに行ってしまった

冷蔵庫を開けて
コップに注いだミルクを飲む少女は
軽やかな瞬きを繰り返し
ブラウンシュガー色の髪から
そよ風を流した
そして半開きの冷蔵庫を
紹介するように

「ねぇーれいぞうこがおこってるよ」

母親の夢は少女の微笑を
無限に見たいということらしい
星屑が空に散らばる時間になって
母親が少女に兎の話を尋ねた

「うさぎはねー
 あるひねー
 ちいさいおうちをこわしちゃったからねー
 そらにおおきなおうちをつくったんだよ」



少女は今夜
玉手箱の中で
どんな夢を見るのだろう


自由詩 シュガーブラウン色の髪の少女 Copyright 純太 2004-02-11 22:32:04
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