ぽえむ君−時代−
ぽえむ君
ぼくは詩人
時の流れとは世代から世代へと
その心をゆずり渡すこと
今日もまた
朝の散歩をしていると
ポケットコンピュータに出会いました
電卓よりもちょっと大きい
道ばたに捨てられていました
すでにほとんど壊されて
一世を風靡したあの輝きはもうない
今ではその名前すら覚えていない
進化の中で押し流されてしまった
その四角い箱は
ぼくの目の前に無残な姿のまま
前の世代の人たちが今のぼくたちに
残していったくれたもの
形は壊れたとしても
ぼくたちは
この眠りゆくものの心を受けとめ
引き継いでいかなくては
ぼくはその箱を手に取り
砂がかぶったところを払い落とし
人目のつかないところに
そっと寝かせてあげました
気持ちに言葉はいらない
明日もまた
言葉のない詩を作りたい