あたしは砂漠で その向こう側には
砦希(ユキ)
?
あたしは砂漠で
来たものはいつも
喉が渇いたと云って
外に出て行ってしまう
あたしは砂漠で
流した涙はすぐに
跡形も無く消える
あたしは砂漠で
あたしは砂漠で
あなただって私を
濡らすことはできないのに
濡らしたとしても
すぐに乾いてしまうのに
来たものはいつも
花も咲かないこんな場所に
いつまでいなくちゃいけないのと
問いかけた途端に気づく
あたしが砂漠なんだということを
この乾いたすべてが
あたしそのものなんだと
来たものはいつも
喉が渇いたと云って
どこかへ また
?
云ってはいけない言葉がある
決して云ってはいけない言葉
サミシイ
流してはならない涙と一緒に
砂漠の熱にうばわれてしまえ
サミシイ
?
あたしは砂漠で
遠い夜の星も
優しい誰かのぬくもりも
諦めるしかなくて
ここから動くことはできない
だって
そうでしょ?
?
また心のままに来ればいい
ここは変わらずに乾いているよ
その渇きはあなたを潤すことはできるのかな
逆説だらけのこの世界なら
そんなこともあるかもしれない
あたしは砂漠で
その向こう側には
あなたの望む泉があると
あなたはそれを切り開いて
私はいくらでも
あなたを忘れてあげるから
?
あたしは砂漠で
サミシイ
乾いてしまった地面を
ヤサシイ
雨が静かに染める
サヨナラ
来たものはいつも
喉が渇いたと云って
出て行ってしまう