あたしは砂漠で その向こう側には
砦希(ユキ)


 ?
  
あたしは砂漠で
来たものはいつも
喉が渇いたと云って
外に出て行ってしまう

あたしは砂漠で
流した涙はすぐに
跡形も無く消える

あたしは砂漠で
あたしは砂漠で
あなただって私を
濡らすことはできないのに
濡らしたとしても
すぐに乾いてしまうのに


              来たものはいつも


花も咲かないこんな場所に
いつまでいなくちゃいけないのと
問いかけた途端に気づく
あたしが砂漠なんだということを
この乾いたすべてが
あたしそのものなんだと

                       来たものはいつも

               喉が渇いたと云って


          どこかへ また



 ?

云ってはいけない言葉がある
決して云ってはいけない言葉

         サミシイ

流してはならない涙と一緒に
砂漠の熱にうばわれてしまえ



                   サミシイ





 ?

あたしは砂漠で
遠い夜の星も
優しい誰かのぬくもりも
諦めるしかなくて
ここから動くことはできない
だって
そうでしょ?


 ?

また心のままに来ればいい
ここは変わらずに乾いているよ
その渇きはあなたを潤すことはできるのかな
逆説だらけのこの世界なら
そんなこともあるかもしれない
あたしは砂漠で
その向こう側には
あなたの望む泉があると
あなたはそれを切り開いて
私はいくらでも
あなたを忘れてあげるから



?

あたしは砂漠で

                         サミシイ



乾いてしまった地面を

             

                         ヤサシイ


雨が静かに染める



                         サヨナラ




            来たものはいつも
            喉が渇いたと云って
            出て行ってしまう





自由詩 あたしは砂漠で その向こう側には Copyright 砦希(ユキ) 2006-04-21 02:45:04
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